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町家改修プロジェクト

町家改修プロジェクト

築90年の町家を、これからの50年に向けて再生する改修プロジェクト。施主は、おじいさまの代から続くこの家を、次の世代に手渡すためにご依頼いただきました。 改修の方針は「残せるものは徹底的に残す」こと。杉の丸太梁、樫の大黒柱、土壁の竹小舞、栗の床板——築90年が育てた素材の表情は、新築では決して再現できません。一方で、構造補強・断熱性能・水回り・電気設備は完全に新しく、これからの暮らしに耐える性能まで引き上げました。 最大の挑戦は、構造補強でした。耐震診断の結果、現状の評点は0.4。倒壊危険度の高い建物でした。これを評点1.5まで引き上げるため、全体の半分以上の壁に構造用合板を入れ、土台・柱の腐朽部分を入れ替え、基礎は鉄筋コンクリートで増し打ちしました。土壁仕上げの裏側に、現代の構造を仕込む工事です。 断熱性能はUA値0.5を実現。古い家は寒い、という常識を更新するため、屋根・壁・床に高性能断熱材を充填し、窓は内窓を全室追加しました。冬の朝の温度差が、改修前と比較して10℃以上改善しました。 お引き渡しから半年経った頃、施主から「この家が、孫の代まで続きそうな気がします」とお手紙をいただきました。建築の仕事は、世代を超えて続く時間に関わる仕事だと、改めて感じる一邸でした。